良いことも悪いこともビジネスは何が起きるかわからない。仕事をしていれば、色んな経験をする。
今回は「取引先が倒産して売掛金3000万円が回収できなくなった話」について徒然なるままに書く。
「時すでに遅し」取引先の倒産を知った時の状況
私が取引先(以下、A社とする)の異変に気付いたのは月末に入金がなかったから。
それに関してA社の担当者に電話をしても、日中ぜんぜん電話に出てくれなった…。
もうその時から「これはヤバイんじゃないのかい?」と思っていた。
夜になって担当者から折り返しの電話があった。
「驚かれると思いますが、弊社は本日をもって破産します…本当に申し訳ございません…
今後の対応については弁護士から連絡がいくと思います。私たちも今日聞かされまして、何が何だか…(泣)」とのこと。
ビックリしたが、そこまで驚かなかった。
振り返って考えてみると、この半年間にA社の社長から「入金を少し遅らせてほしい」という依頼が2回あった。
「新規事業への投資で、短期的に資金需要があって」とのことだった。
後ほど詳細説明するが、弊社とA社は広告代理事業の取引なので、お金の元手は広告主から支払われているから問題ないと思っていた。
売掛金3000万円の具体的な取引内容について
A社は、広告代理事業やセールスプロモーションなどを行う会社で、それ以外に新規事業を色々と手掛けていた。
弊社は広告代理事業のところでお取引きをしていた。
広告主の一次代理店をA社が担い、その下請けとしての二次代理店が弊社。弊社からメディアに広告を配信・掲載するという商流だった。
- 広告主に対してA社が1,200万円で請求(手数料20%乗せ)
- A社に対して弊社が1,100万円で請求(手数料10%乗せ)
- 【広告主売上1,200万円-広告費1,000万円=粗利200万円】
粗利200万円をA社(100万円)と弊社(100万円)でレベニューシェアする構造だった。
※計算上、分かりやすいように広告費1,000万円としている
弊社にとって痛手だったのは「広告費を弊社が負担していた」こと。
売上入金の前に、広告の掲載・配信は実施済みで費用はすでにメディアに支払っている。
A社から入金がされないと、広告費は丸々弊社負担となる。
上記の例だと、弊社は売上1,100万円、広告原価1,000万円、利益100万円。
利益率は9%程度だ。あんまり高くない利益率の商売・・・。
さらにマイナスだったのが、2ヶ月分の広告費負担となったこと。
A社の倒産を知ったのは月末で、その月末時に入金される予定のお金は前月締めのものだ。
当月の広告費はすでに支払っているが、請求先であるA社はすでに破産状態…
よって2ヶ月分の売上が入金されないことになり、且つ2ヶ月分の広告費を弊社はすでに支払っていることになる。
実際には合計3000万円の売掛金が焦げ付いているし、計約2500万円の広告資金が必要な状況となっていた。
倒産理由は投資詐欺。その背景には…
少し落ち着いてからA社の担当者と飲みに行った。
A社が倒産した理由を担当者から聞いた。
結論として、直接的な理由は「投資詐欺にあったから」。
ビックリしたが、そこまで驚きはしなかった。
海外在住のミステリアスな実業家に「7億円投資したら、半年後に倍にしてお返しいたします」といった投資話を持ち掛けられ、それに乗っちゃったらしい。
7億円が倍になってお返しされることはなかったみたい。
新規事業のために調達していた資金と合わせて総額10億円程の借金があり、返済見込ナシということで倒産。
A社の社長も自己破産した。
より深く話を聞いてみると、そこに至るまでの背景があったとも言える。
- 経営陣のゴタゴタ
- 社長の驕りと劣等感
1.経営陣のゴタゴタ
A社は、社長のほか2名の取締役(A,B)がいた。
取締役Aはとある宗教に入っており、いわゆるスピリチュアルな人だった。経営判断に占いを活用していた。
取締役Bは本業であるセールスプロモーションの事業でしっかりと収益を出していた。
まず取締役Aは論外だが、この経営陣3名が様々な角度でゴチャゴチャしており、仲も悪かった。
取締役Bは倒産する半年前くらいに辞めてしまっていた。
取締役Bとしては、自分が本業で稼ぎだした利益を原資に、社長が新規事業をやってお金を溶かし、取締役Aが宗教や占いに資金流出させている状況に我慢できなったからだ。
取締役Bがいなくなって本業の収益が悪化してきたから、結果的に謎の投資話で挽回しようとしたとも言える。弊社に入金ジャンプの依頼が来たのとも時期が重なる。
2.社長の驕りと劣等感
A社は売上30億円規模の会社だった。
その殆どは広告代理事業やセールスプロモーションからの売上であった。
A社の新規事業は社長が担っていた。
社長は、それなりに会社経営をしてきているので、やはり「俺は成功者だ」という驕りがあった。
一方で、会社経営者としてのレベルは上を見ればキリがないし(売上30億円規模は確かに頑張っているけど、世の中にはもっと大きな会社が普通にたくさんある)、新規事業はあまり上手くいっていないので、劣等感もあったようだ。
驕ってるが劣等感もあるという歪んだ状態が、「俺には成功する儲け話が舞い込んでくるものだ」「俺は一発で周りをギャフンと言わせる大きなことをしなければならない」という妄想を作り、投資詐欺に騙されることになったのだと思う。
こういう社長の話は意外と耳にする。
お世話になった前職の社長が騙されて20億円の借金をつくり自己破産した話もご参照ください。
貸倒損失を事前回避することはできたか?
今回の取引先倒産について、事前に避けることは難しかったように思うが、やりようはあったのかもしれない。
この半年間にA社の社長から「入金を遅らせてほしい」依頼があった時に、「新規事業への投資とのことですが、状況どうですか?」と突っ込んで理由を聞いていれば、その時に経営状態の悪さに気付けたかもしれない。
また、A社の担当者ともっと深く関わって飲みに行ったりサウナにいったりして、会社の状況や経営陣の内情を聞いておけば良かった。
前述の「1.経営陣のゴタゴタ」「2.社長の驕りと劣等感」は、以前から顕在化していたことなので、それら情報をもっと早くキャッチしていれば何かしら対策が打てたかもしれない。
がしかし、そうは言っても後の祭りだ。
今回は貸倒損失の事前回避はできなかったが、この経験を別のお取引きに活かすしかない。
取引先倒産への対策は?事前にできること
前提として、ビジネスなのでこういう事態は起こり得るということ。
そうなった時のために、利益蓄積して純資産は積み上げる。
経営状況が良いときに低金利で銀行借入をしておくのも一つ。
キャッシュはあって損はないと痛感した。
あとは、先輩経営者に相談して意見を貰えたことは良かった。精神的に落ち着けた。なので、普段から相談できる繋がりを持っておくのは大事。
弊社レベルの会社だと与信どうこうよりも、「ビジネスとして成立して売上になるならやる」というスタンスだが、それでも取引する会社の経営状況は随時チェックするべきと思った。当たり前の話だが。
数字面というよりは、経営陣の動向や内情をおさえておくべきと思った。
特に毎月1000万円以上の取引をしていれば、それなりの金額なので、社長または担当者と定期的に飲みに行ったりサウナにいったりして情報収集すべきと思った。
カッコ良いソリューションを全く提示できていないが、私の考えとしては「取引先が倒産することは起きるかもしれない」と念頭に置きながらも、収益を着実に生んで、キャッシュを蓄積して備えるしかないと思う。
リスクはあるもの。リスクがないとリターンもない。ビジネスはそういうものだと思う。
ちなみに、経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)に契約していたので、活用してみたが、正直使い勝手は悪かった。
これは私の知識不足だが、保険金としてお金が貰えると思ったが、積立していた分を借入できるというシステムだった。
そして金利も高かった。
何よりも中小企業基盤整備機構の担当の方の理解力が低すぎて、何度も電話説明や何回も書類のやり取りをして、最高に工数が掛かった。
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は節税効果はあるから絶対契約するべきだけど、本来のセーフティサービス機能としてはあまり期待できないと思った。
その後に関して
A社が倒産してから2年後くらいに、A社の社長に会った。
債権者集会で何度か見かけてはいた。
当時は意気消沈して痩せており、元気はなかったが、直接会った時は回復して元気そうだった。
謝罪されたけど、私が特に感じることはなかった。
社長は自分が自己破産して何もなくなったこと、取締役の悪口や今後もう一度大きなチャレンジをしたいなど語っていた。
自分が思ったのは、人ってそんなに簡単に変わらないんだなと思った。
まぁ年齢の問題もあるかもしれないが。
〆のことば(メタメッセージ)
想定の範囲外に文章が徒然なるままにすぎて、読みづらいかもしれない。
申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
日記と思って生暖かい目で読んでください。
1ミリでもこの文章が人の役に立ったならうれしい。
奇跡的にこの文章を面白いと思って頂き「コイツはどんな奴なんだい?」と興味を抱いた人がいたら、現X(旧トゥウィッター)でコンタクトして頂ければです。よろしくお願いします。
ChooseHappyLifeという「幸せな人生を選ぶために必要な情報(お金、仕事、恋愛、健康、旅行など)を提供する記事メディア」を運営しようと思っていたけど、やっぱりただの日記。なんか奇跡が起きた場合は、ぜひ読んでみてください。https://t.co/qHVOouwZqr
— 高木直也|ChooseHappyLife運営 (@Choose_H_Life) March 27, 2024